様々な治療の進歩により、小児期発症慢性疾患の患者さんの多くが成人期に達するようになってきました。しかし、成人期になっても治療が必要であったり、成人期特有の症状がみられるようになったりと、従来の小児を中心とした医療のみでは対応が困難な問題が生じてきます。
このような小児を中心とした医療から、成人を対象とした医療に切り替えていく過程を「移行」といい、移行を行っている期間をサポートする医療を「移行期医療」といいます。
医療的ケアをもつ患者さんにおいては、疾患や自立の状況、在宅医療や通院している病院・クリニックのサポート体制等により、個々の移行期医療のあり方は異なってくると考えられます。すべての患者さんが適切な時期に適切な医療を受けられるように、小児科と成人診療科とが協力して医療支援を続けていくことが求められています。
わたしたちは岐阜大学医学部附属病院における移行期医療体制の構築をめざし、小児科全体で取り組んでいます。
(日本小児科学会 移行期の患者に関するワーキンググループ「小児期発症疾患を有する患者の移行期医療に関する提言」日児誌 118: 98-106, 2014)